全国47都道府県を巡って、1都1府5県に住み、16年前に信州から徳島へ住居を移す。 山に囲まれ、思ったことを相手にあまり伝えない県民性の信州を、雪の中出発して、山を越えて、雪は無くなり、愛知辺りで桜は満開、淡路島を渡り、徳島に着くと桜は散り始めていた。
徳島の春はもう始まっている。燦々と照る太陽、キラキラした海、山の緑が濃くて、田畑は広大。のんびりした山陰出身の私には、阿波弁はぶっきらぼうに感じる。元気のいい女性達、優しくサポートする、男性達。1週間が過ぎて、「徳島、言ってる事そのまま~分かりやすい」が我が家の感想。
はっきりしているので、強く聞こえるが、お節介で、人が好きで、働きもんがようけおる徳島。ワクワクの徳島生活が始まる。 徳島と言えば、阿波踊りとすだち。この位の知識しかなく、日々巡り合うもの、見るものが目新しい。
山の物も、海の物も、肉類も何でもあって、皆さんが普通に思っていることが、普通じゃない。 一番最初の驚きは、地元スーパーが早くから開店している事。今は24時間スーパー、コンビニエンスストアもあるが、全国回って、地方のスーパーは10時開店が多かった。高齢者が増えている時代、朝賑わっているスーパーを見て、元気な徳島、強い食の力を初日に感じる。 我が家の食にも嬉しい変化をもたらした。
4歳と乳飲み子を連れての徳島、子育てをする上で食は悩みでもあり、成長の為に良いもの、安全な物ををバランスよく食べさせたいと思うのが親心。でもなかなかそうはいかない。食の仕事をしている私だが、娘の偏食には手を焼いた。
徳島に来て、嫌いだったわかめと練り物を食べるようになった。徳島で採れるわかめの適度な厚みと歯ごたえが子どもの味覚を刺激する。そして新鮮な魚のちくわに、かまぼこ。特に竹ちくわは、食べやすくおやつ代わりになる。子どもの頃に食べ親しんだものは、大きくなっても懐かしく、舌が覚えている。
成人した娘の好きな物の一つになっている。私も春の声を聞くと、大きなお椀にたっぷりと注がれた御膳味噌の汁。そこにどっさり入った緑色のわかめの味噌汁の香りと食感を想像して、徳島へ飛んで行きたくなる。この美味しさを100%いただくには、徳島の澄んだ空気と、青い空に、青い海、心地よい風も必要。 春にんじんの甘さ、瑞々しさ、香りの良い吉野川のすじ青のり、桜のようにきれいな真鯛、四季折々、地域によっての食材や、郷土料理。
豊かな食材を全国の人に、世界の人に知って欲しい、この豊かな徳島に来て、見て食べて、好きになって欲しい。 それだけ魅力ある、徳島だから。
料理研究家(行長万里)
転勤族の夫と2人の子どもで各地に住みながら、47都道府県をすべてまわり、地方の食材を最大限にいかしたオリジナルレシピを考案。現在は東京都在住。 TV番組、雑誌、CMにフードコーディネーターとして活躍。著書には『給料日前のピンチを救う50円料理(55万部)』があり、多くの主婦の共感が集まっている。エシカル料理研究家のパイオニア。食品ロス講演やエシカルの活動のアドバイスも行っている。
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