「小松島」と聞いてすぐに心に浮かぶのはこれ。
小松島といえば、ちくわ。それもいいけれど、私にとっては何とも忘れられない味、それが「フィッシュカツ」。
フィッシュカツの原料は、魚のすり身。それにカレー粉などを混ぜたものに、パン粉をまぶして揚げたものである。いたって簡単なおかずだが、この味はシンプルながらも奥が深い。
フィッシュカツ単品でもおいしいが、お好み焼きの上に載せて食べるのも最高!野菜炒めにタンパク質補給のために入れるのもなかなかのアイデアだ。
カレー味というのがまたいい。昔の子どもにとって、カレーは大のごちそうだった。今日の夕食がカレーだと聞けば、遊びも早めに切り上げて家に帰ったものである。
フィッシュカツの楽しみ方
フィッシュカツの楽しみ方はさまざまだが、カツの上にマヨネーズをたっぷりかけて、その上に醤油を垂らす、これがたまらない。
マヨネーズの少し酸っぱいような、まろやかなクリームのようなドロッとした液体感と、揚げたパン粉のサクッとしたアンバランスさが絶妙なハーモニーを生む。そして、その中にある少し弾力性のあるすり身の歯ごたえ。そこにカレーの風味が広がる瞬間、もう言葉はいらない。
「天ぷら?それってさつま揚げじゃないの?」と東京の同僚が聞いてきた。「徳島では、天ぷらって言うんよ」と私。天ぷらには二種類あると知ったときのとまどいと驚きも相まって、私はフィッシュカツをほおばりながら、東京のかつての同僚のことをふと思い出すのであった。