夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る・・
新緑まぶしい季節、心待ちにしていた新茶の季節。瑞々しい薫り、透き通った緑の水色。
この時期しか出会えない味があります。
日本のお茶どころといえば、生産量からすると静岡・鹿児島・三重・・と名だたる産地がありますが、もちろん徳島でもお茶を生産しています。
想い出深いお茶と出会いの話を三つ。
暮らしの中に深く関わっているお茶
上勝の方から、新茶を飲みに来ませんか、とお誘いいただきました。ウキウキ出かけると、さあ!と裏山に連れて行かれ、お茶を摘みましょうと・・。

お茶って確か、茹でたり釜煎りしたりして発酵を止めて、揉んで乾かして・・今日飲めるのでしょうか?
枝ごとバサバサ折って(摘むというより折る)籠いっぱいになると、河原に下ります。
そこで火を起こして、摘みたてのお茶をあぶるのです。燃えないように、茶葉でさーっと炎の上を撫でる。ちょうど焼きのりをあぶる感じでしょうか。ヤカンで湯が沸いたら、そこに茶葉をちぎり入れてしばらくしたら出来上がり。
地元の方は、こうやってお茶を楽しむそうです。目からうろこのお茶の味わい方。暮らしの中にお茶が深く関わっていることを実感しました。
今まで味わったことのない爽やかなお茶の味は今でも忘れることが出来ません。
山間地の恵みを最大限に生かしたお茶作り
三好市のお茶の生産者に会いに行った時のこと。8月末の暑い日。ぐんぐん山を上がっていくと、そこには天空の世界。見渡す限り山、山、やま。
標高450m、井川スキー場脇山を見上げる急斜面。その斜面は、すべて緑深い茶園でした。
脇(かいな)の四季。
井川町の山間地で、自然の恵みとともに「地球環境保全農業(栽培期間は除草剤・化学肥料・化学農薬を一切使わない茶葉作り)」で栽培されています。
この地の恵みを最大限に生かしたお茶作り。お茶が高地で栽培されるのは、その温度差により発生する霧が茶葉を柔らかく・味わい深いものに育てていくからです。
雑草にまみれたたくましい茶葉。それでいて味はとても繊細で、緑の香りが鼻の奥を優しく通り抜けていきます。
一煎目はまろやか。二煎めは緑茶独特のこく。三煎めは甘味。四煎目はさっぱりと。
作り手の近藤さんは大切に大切にそのお茶を作り続けています。
お茶菓子に出してくれたもろこしも、もちもちして地域の味を感じました。

一般には流通しないお茶
もう一つ、祖谷番茶も楽しい発見でした。

四国のほぼ真ん中、秘境と呼ばれる祖谷地方。周囲を1000m超の山々に囲まれています。
祖谷川沿いの急斜面に点在する山間集落では、昔からこの地域に自生するお茶を手作業で作り続けています。でも、東祖谷では販売はせず、自分たちが毎日飲む分しか作らないので、一般には流通していませんでした。
6月上旬は茶摘みのピーク。祖谷では昔から各家庭の畑仕事などを近所の人が集まって行う「イイ」が習わしとなっていていました。こうして摘み取られた茶葉は、釜で炒られ(日本茶で釜炒り茶は数少ない)、揉み、乾燥して出来上がります。
そして煮だして飲むお茶は、甘味が強く、コクがあり香ばしい風味が楽しめます。
新茶ならではの楽しみ方
最後に、新茶のお楽しみは「氷出し」
氷は溶けにくいブロックの物がお勧め。器に茶葉を敷き、その上に氷を載せるだけ。
少しづつ溶けていく氷が、茶葉のいちばん甘いところを大事に大事に引き出してくれます。


これからの暑い日、氷出し茶でおもてなしはいかがでしょうか。
お客様のいらっしゃる30分くらい前から(季節によりますが)準備しておきましょう。
いらっしゃる方の笑顔を想像しながら。

テーブルコーディネーター(島内陽子)
大学卒業後、東京でテーブルコーディネートを学びディプロマを取得。1999年よりテーブルコーディネートスタジオON THE TABLEを主宰。テーブルコーディネートスクールをはじめ、ディスプレイやフードスタイリング、セミナーやパーティプランニングなど食に関わる様々な分野で活躍中。東京ドームで開催されるテーブルコーディネイトフェスティバルにおいて徳島県産品を生かした食空間の提案にも力を入れている。

 
       
      
      
      
      
   
      
      
      
      
      
      
      
      
    
    
    
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