県内各産地では「なると金時」の収穫が今まさに行われています。
収穫されたなると金時は、「選別」と呼ばれる作業により、大きさ・重さ・長さ、それぞれ10通り以上もある「規格」に従って仕分けられ、箱詰め、出荷されます。
「選別」作業はこれまで、ベテラン農家やJA集荷場の熟練作業者の経験に基づき人の手で行われてきましたが、農家の栽培規模拡大や、近年の人手不足により、初心者でも正確に選別ができる仕組みづくりが求められています。
四国大学経営情報学部メディア情報学科の細川康輝教授は、数年前に自宅近くの農家からそのような悩みを聞き、専門知識を活かした選別システムの開発ができるのではないかと取組を開始しました。使われているのは、近年さまざまな分野での活用が期待されている「AI(人工知能)」です。
ただし目標は、多額の費用を必用とせず、一般の農家でも導入しやすい数万円という価格でシステムを作成することです。最も大変だった作業は、各規格に選別されたなると金時の画像を撮影し、システムに覚え込ませる作業を学生さんと共に行ったこと。その数なんと1万枚です。しかし精度を上げるためには数万枚の画像が必用とのこと、膨大な作業量がうかがい知れます。
そして7月22日には、なると金時を扱う関係JAや指導機関の担当者に向けて「実演・意見交換会」を開催しました。
なると金時を台の上に置くと自動で「重量」を計測し、カメラで撮影された画像とともに、瞬時にAIにより解析された「規格」が画面に映し出される様子に、参加者一同驚かされました。それでもまだまだ、選別現場の意見をできるだけ取り入れるよう改善すべき点は少なくありません。
なると金時のブランド力を高めるため、このように身近なところで農業へのAI活用が期待されます。
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